TCフォーラム研究報告2026年8号 

TCフォーラム2026年8号 石村耕治「防衛増税」平和リスク評価が要る
                                 2026年4月6日

消費税減税より先にスタートした

「防衛増税」平和リスク評価が要る

            平和を支える税か、軍拡を支える税か

        ~所得税・法人税・たばこ税の増税の実態

 

 石 村 耕 治
(TCフォーラム代表委員・白鷗大学名誉教授)

 

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選挙公約の消費税減税は遅々として進まない。一方で、「防衛増税」がこの4月からはじまった。まず、法人税(防衛特別法人税の新設)とたばこ税が対象となる。防衛特別法人税では、法人税額から500万円を差し引いた額に4%を上乗せ課税する。一方、たばこ税増税では、まず加熱式たばこが対象。大手メーカーの銘柄では、1箱あたり20~50円の値上げとなった。

さらに、2027年1月には所得税も変わる。負担率は変わらないが、制度の枠組みが組み替えられる。企業や家計には、増税の波がじわじわと押し寄せる構図である。

「平和研究が軍拡研究」にすり替えられる傾向が顕著である。その背景には、平和を確保するには軍備増強が必要だとする議論の強まりがある。この議論を受け、防衛力強化の動きが活発化している。

防衛力強化には財源が必要とされ、新たな増税策が具体化している。今回の増税の特徴は、一時的な措置ではない点にある。複数の種類の税金を組み合わせ、恒常的な財源を確保しようとする構造である。

 

このままでは、税の学習が軍拡増税の肯定へと傾きかねない。平和憲法は、いっそう危機に瀕している。平和ボケした 「手取りを増やす」といったポピュリズム的な減税のキャッチコピーに浮かれていてはいけない。その陰で、裏口増税のあだ花が次々と開花しているのである。防衛増税に加え、「子育て支援金」などの新たな負担(ステルス増税)が目白押しである。

イラン戦争などで物価上昇が止まらない。「大砲よりパンを優先すべきだ」とする声が一段と強まっている。高市政権は、選挙公約である消費税減税なぜここまで先送りにするのか。ヤル気になればすぐできるはずだ。投票で託された「民意」に応えないことで政治への信頼は確実に損なわれている。“軍事増税ファースト、生活者減税フェイク”で、国民の忍耐は限界に近づいている。

平和を求める市民にとって、防衛増税という名の“軍事費”の増徴については、「平和リスク評価」を最優先しないといけない。

高市首相は、トランプ大統領との会談で、日本には憲法上の制約があり、アメリカの軍事行動参加には限界があると伝えた。平和憲法が生きた瞬間だった。若い世代に戦争体験がないことを誇りとすべきだ。天然資源の乏しいこの国は、諸国の先頭に立ち、赦し合いを説き、国際的な友好を何より重んじるべきだ。「産めよ、増やせよ」は結構だとしても、防衛費という名の“軍事費”を増やし、人的資源を戦争に費やしてはならない。平和憲法を大事にしようではないか。

今般の防衛増税が平和を支える税なのか、それとも軍拡を支える税なのか。いま、私たち一人ひとりに冷静で慎重な判断が求められている。

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