2018年4月1日~2019年3月31日

(1)2018年4月12日(木)、参議院議員会館において院内集会を開催

平成29(2017)年度税制改正において、国税犯則取締法が国税通則法に編入され、煽動罪が国税通則法第126条に規定された。国会でほとんど議論されないままに改正案は可決され、2018年4月1日に施行された。これにより、納税者や税理士などが虚偽の申告や不納付を煽動したと当局に認められた場合は、懲役3年以下または20万円以下の罰金を科せられることになり、納税者の権利が侵害されることになりかねない。
4月12日午前、国税通則法126条の煽動罪規定の廃止を求める要望書を衆議院財務金融委員会および参議院財政金融委員会の議員に対して要請行動を行った。
午後はB107号室において、「納税者権利憲章と煽動罪」をテーマに学習会を開催、84人が参加した。第1部は、湖東京至代表委員よりTCフォーラムの提案する「納税者権利憲章」案を発表。第2部は、国税通則法126条に規定された「煽動罪」とは何かについて岡田俊明運営委員より講演、第3部は鶴見佑策代表委員より「倉敷民商事件広島高裁判決までの中間報告」があった。
会場からは、まだ煽動罪は広く認知されていないので、広く知らせる運動の継続が大事であるとの意見が出された。

(2)2018年6月16日(土)中央大学駿河台記念館において第26回定時総会を開催

記念講演は「共謀罪(テロ等準備罪)と煽動罪の怖さ ~納税者と事務専門職な どとの信頼関係を蝕む法制に異議あり~」をテーマに、石村耕治白鷗大学名誉教授 が報告。66人が参加した。
共謀罪を規定する条文は広範囲に及び、所得税、法人税、消費税、地方税などの脱税犯も入っている。「実行準備行為」も犯罪となる条件となっているため、犯罪が行われる可能性がまだ高いとはいえない段階で捜査が可能になる。2人以上で計画を立てたら共謀罪となる。
一方で煽動罪は「あおり行為」を対象とし、他人に犯罪その他の違法行為をするように刺激を与えた場合、一人でも成立する。いずれにしても個人の思想・信条に国家が介入することを法認することにもつながり、人権保護の観点からも極めて危険であり、国民・納税者・税務専門職を黙らせる効果を狙っているとの指摘があった。
国民・納税者・税務専門職が一丸となって、「煽動罪や共謀罪を許さない」運動を推進することが重要となっている。このような治安立法、人権侵害法を無力化できるレベルの高い納税者権利憲章、納税者基本権法などの制定が急がれるとの石村氏の提起は、まさに私たちの運動の重要性を確認する記念講演となった。

(3)2019年1月12日、13日開催の「いのちとくらしを守る税研集会」において、TCフォーラムの納税者権利憲章(案)解説パンフを発表

第1回「いのちとくらしを守る税研集会」が開催された。消費税増税中止、公正・公平な税制・税の応能負担原則・納税者権利憲章の確立に向け、二つの講演、四つの分科会で学習・交流が行われた。第1分科会「税務調査と納税者の権利」では、国税通則法の「改正」により法制化された調査手続きの内容や税務調査の対応などについて学習・交流が行われ、その中でTCフォーラムの提案する納税者権利憲章が紹介された。

(4)TCフォーラムが提案する納税者権利憲章の解説パンフを作成

2017年度に作成し、2018年4月12日に公表した納税者権利憲章(案)について、項目ごとに解説が欲しいという会員からの要望を受け、解説パンフを作成した。
2013年12月成立の「所得税法等の一部を改正する法律」附則106条で、納税環境の整備に向けた検討について、「政府は、国税に関する納税者の利益の保護に資するとともに、税務行政の適正かつ円滑な運営を確保する観点から、納税環境の整備に向け、引き続き検討を行うものとする。」という規定に基づき、国税通則法の改正を求めている。その中で、煽動罪を規定する126条の廃止、納税者権利憲章の制定を求めている。
納税者や国会議員の皆さんがどのような納税者権利憲章があったらいいのか、イメージしやすいように具体的な形にしたもので、今後の運動に活用していくものである。

2017年4月1日~2018年3月31日の活動報告

(1)2017年6月3日(土)に中央大学駿河台記念館おいて第25回定時総会を開催

記念講演は「平成23年度国税通則法改正後の税務行政の現状~最近の調査事例報告及び国民による納税者権利憲章の提唱~」をテーマに、弁護士・税理士の山下清兵衛氏に講師をお願いした。
租税訴訟及び行政訴訟に数多く代理人としてかかわってきた山下氏から、最近の事例として納税者支援調整官宛に訴えたことで、過大役員退職金の最終月額報酬につき再検討がなされた事件が紹介された。現行、税務調査における人権侵害については、苦情相談・不服申立・租税訴訟・国賠訴訟の4つの救済方法が用意されている。苦情相談窓口として納税者支援調査官制度は活用できる。税務調査こそが大切な場であり、処分前に協議と和解で解決することが重要であること。ドイツの財政裁判所は80%が和解による解決である。わが国では租税に関する和解は認識がうすいが実際の税務調査の現場では和解が行われているとの指摘があった。
最後に、納税者の権利が擁護され、納税者が国政において主権者として扱われるためには、次の3つのシステム構築が必要との提案がなされた。
①納税者作成の租税公正基準を設定・公表すること。
②国政の三権を監視する第三者機関を設置すること。
③納税者の弁明を聴取して租税債権を確定する方式として「協議・和解制度」を導入すること。
記念講演での指摘は私たちの運動の方向に大きな刺激となった。

(2)国税通則法「改正」126条煽動罪の廃止を求めるパンフ作成、納税者権利憲章(案)の作成と4月12日の院内集会の準備

①2013(平成25)年1月1日より調査手続きの本格実施が行われているが、平成29年度税制改正における納税環境整備に関する改正は、国税犯則取締法を廃止し、平仮名・口語体表記に改める等の現代語化を行うとともに、国税通則法に編入するというものであった。
国会でほとんど議論もなく成立し、本年4月1日126条煽動罪は施行された。ひろく納税者に煽動罪の危険性を知らせるため、問題点を洗い出し、パンフレットを作成、また、煽動罪廃止を求める要望書を作成し、国会議員への要請を行った。
②納税者及び国会議員に具体的に示す「TCフォーラムがつくる納税者権利憲章(案)」を議論し、パンフレットを作成した。
③当面の課題として国税通則法の改正を求め要請を行ってきたが、126条煽動罪の廃止を求める項目を追加し、新しくパンフレットを作成した。
④煽動罪廃止、国税通則法改正、納税者権利憲章(案)のパンフレットは、会員及び加盟団体組織からの希望により、各々およそ9000部が配布された。
⑤4月12日に「納税者権利憲章と煽動罪」と題して、TCフォーラム「納税者権利憲章」案の公表、煽動罪の学習会を企画し準備を進めた。

(3)平成30年度税制改正で、住民税通知書にマイナンバー記載しないことに決定

番号制度の旗振り役である総務省は個人番号の利用拡大を図るべく、総務省令を改正して会社に送る住民税の特別徴収税額決定通知書に個人番号を記載する様式に変更したが、決定通知書誤送付による個人番号の漏えいが多数報告されるなど問題が多発した。
平成30年度税制改正において、決定通知書を書面で送付する場合は「当面、マイナンバー(個人番号)の記載を行わないこととする」と決定。総務省はこれを受けて「当面記載しない」と方針転換した。
これについて、総務省は、漏えいも要因にあるが、経団連などいろんな団体から管理コストがかかると反対があったことを理由としている。
しかし、実際は番号制そのものへの不信や反対の声が大きく上がったことの結果である。TCフォーラムに加盟する各団体はこの問題に連帯して取組み大きな役割を果たした。

(4)2017年4月及び8月に国会議員との個別面談を実施

衆議院財務金融委員会及び参議院財政金融委員会の国会議員メンバーが様変わりし,TCフォーラムの活動自体を知らない議員が増えてきた。そこで、2016年度末から、個別の議員との面談の申し入れをしていたが、2017年4月に公明
党、自民党、民進党の各議員3名と8月には共産党の議員2名と面談を行った。
TCフォーラムからは延べ19名が参加した。
面談の内容は、まずTCフォーラム結成から今日までの活動の概要を説明し、当面、議員へ要請している事項について、パンフレットをもとに実際に税務行政や税務調査で起きていることなどについて話をした。
面談に応じた議員からは国会での手続きについては厳しい状況にあるとの見解が示されたが、納税者権利憲章の必要性については理解が得られ、今後も個別議員との面談の実施は続けていくことが必要である。

2016年4月1日~2017年3月31日の活動報告

(1)2016年6月18日(土)東京税理士会館において第24回定時総会を開催

記念講演は「納税者権利憲章と税務行政に関する近年の各国情勢 ~納税者の権利と税務行政の関係を考える~」をテーマに、税理士の中西良彦氏に講師をお願いした。納税者擁護官・保護官・オンブズマンが各国に広がりを見せていると聞くと、改めてわが国の置かれている状況を再確認した。
昨年11月に米・ワシントンDCで開催された第1回「納税者の権利に関する国際会議」に日本から唯一参加したが、アメリカ国家納税者擁護官ニーナ・オルソンの主催で行われたこと、世界各国から行政担当者が多く参加しているにも関わらず、日本からの参加がなかったということである。
税務行政手続きから疎外されている大多数の給与所得者の問題が、日本における納税者権利憲章が国民的規模に拡大しなかった最大の原因ではないかとの指摘は今後の運動の検討課題となった。

(2)国税通則法改正後の税制改正の動向

2013(平成25)年1月1日より調査手続きの本格実施が行われているが、
平成29年度税制改正における納税環境整備に関する改正は、国税犯則取締法を廃止し、平仮名・口語体表記に改める等の現代語化を行うとともに、国税通則法に編入するというものである。併せて国税犯則調査手続きについて、電磁的記録に係る記録媒体の差押えや接続サーバ保管のデータの差押えができるとする規定が新設された。
国税通則法においては、「当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」とあり任意調査を定めている。これに対して国税犯則取締法は脱税犯への犯則調査を定めたものであり、異なる趣旨の法律を1つにする理由が漫然としない。税務調査の現場での運用段階で強権的な調査が行われることが懸念される。

(3)平成28年1月1日より開始した個人番号(マイナンバー)制度

平成28年分の所得税確定申告書には個人番号の記載がなくても受理され、雇用保険に関する手続きにおいても受理されている。
番号制度の旗振り役である総務省は個人番号の利用拡大を図るべく、総務省令を改正して会社に送る住民税の特別徴収税額決定通知書に個人番号を記載する様式に変更した。
事業主に対し個人番号の提供を拒否した従業員についても、従業員に無断で個人番号が記載された通知書が事業主に送付されることになる。また、総務省は普通郵便で送付することを認めており漏洩等の危険性がある。全国の市区町村は、12ケタ全部記載、一部を印字、すべて「*」で印字、空欄、欄を設けずなど対応は分かれた。

(4)2016年11月16日(水)、18日(金)国会議員要請行動の実施

改正国税通則法に基づく税務調査が開始されてから4年余りが経過したが、
税務調査の現場では様々な問題が起きている。附則106条では、「納税環境の整
備に向け引き続き検討を行うものとする」とあり、当面の課題として、国税通
則法の改正を求めるパンフレットを作成し国会議員への要請を行った。

2015年4月1日~2016年3月31日の活動報告

(1)2015年6月17日(水)全建総連会館において第23回定時総会を開催

記念講演は「納税者の権利憲章の国際的な展開 ~最近の動向を中心に~」をテーマに、立命館大学法学部教授の望月爾氏に講師をお願いし、納税者権利憲章の国際的な状況やわが国の国税通則法改正による手続き法制の整備の経緯や現状を踏まえ、改めて納税者の権利憲章制定に向けてその現状と課題についての報告があった。
1970 年代後半以降、欧米各国において、課税当局の権力の拡大に伴い納税者への権利侵害やトラブルが発生し、租税手続き法制の整備と納税者権利憲章の制定が進展した。納税者権利憲章は、広義には納税者権利保護に関する法律や行政文書などをいい、各国の法文化などの状況により、「立法によるアプローチ」と「行政上のアプローチ」がある。法体系が成文主義の大陸法系と慣習法主義のコモンロー系かによると分析される。この分析に従うとわが国は「立法アプローチ」に区分されよう。
2013 年のOECD の調査報告書によれば、OECD 加盟国34 か国・非加盟国18 か国中、憲章がないのは加盟国では8 か国、非加盟国では2 か国だけである。
憲章制定に反対する議論の中で、租税行政の効率悪化やコスト増加の懸念が示されているが、租税行政の円滑な執行のため、まずは納税者と課税当局との信頼関係を構成していくことが大切である。国際的な動きの中でわが国の遅れは顕著であり、
憲章の法制化が急務であることが確認された。

(2)国税通則法改正後の税制改正の動向

2013 年1 月1 日より調査手続きの本格実施が行われているが、平成28 年度改正は、従来修正申告書の提出が「更正があるべきことを予知してされたものでない場合」過少申告加算税は課されなかったものを「事前通知の連絡を受けてから、更正があるべきことを予知するまでの期間」について過少申告加算税5%又は10%を課すとするものである。
平成26 年度は税務代理人があるときは本人に対する事前通知省略ができるとする改正。また、平成27 年度は再調査の制限の対象となる調査について、前回調査が「実
地調査以外の調査」である時は新情報がない場合であっても再調査を行うことができるとする改正や複数の税務代理人があるときは代表者のみに事前通知すれば足りるとするなど、税務行政の効率化を図るものであり、納税者に対しては手続きや加算税が強化される内容となっている。

(3)平成28年1月1日より開始した個人番号(マイナンバー)制度

2013(平成25)年5 月「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」ほか3 法が可決、公布され、2015 年度前半はにわかにマイナンバーに関する広告宣伝が国税庁を筆頭に活発に行われ、民間ソフト会社を中心にセミナーの開催、ソフトウェアの営業が展開され、国民、民間事業者は番号制の推進をあおられた。
しかし、個人番号制度はプライバシーなどの基本的人権を侵害するものであり徐々に反対の声が広がってきている。「番号を申請しない」「番号を使わない」「番号を使わせない」など形骸化する運動が叫ばれる一方で、マイナンバー違憲訴訟が全国8 カ所で提訴されている。
TCフォーラムは、昨年9 月12 日(土)にマイナンバーをテーマに「不公平な税制をただす会」の秋期学習会に協賛し参加した。
学習会のタイトルは「事業者に重荷、ダダ漏れ必至の共通番号は憲法違反~マイナンバー実施でどうなる企業業務や税理士業務~」であった。

(4)2015年5月27日(水)、国会議員要請行動の実施

国会議員の構成が大きく入れ替わり、今までTCフォーラムの活動に理解を示していた衆議院・財務金融委員会、参議院・財政金融委員会のメンバーが大幅に変わってしまった。
昨年に引き続きTCフォーラムの活動をまず知ってもらうこと、納税者権利憲章制定のためには、国税通則法第1 条目的に「国民の権利利益の保護を図る」の文言を明記する改正を求めるという1 点に絞って要請を行った。国税通則法改正後の税務行政の動向をみると、税務調査手続きの規定はできたものの、手続きによらない処
方を用いようとしており、真の納税者の権利保護の確立のために、第1条目的の改正の必要性を訴えるパンフを作成して国会要請を行った。

2014年4月1日~2015年3月31日の活動報告

本年2月8日に学者を中心とする「民間税制調査会」設立シンポジウムが開催された。また、2月15日には、「税金を払わない巨大企業 ~公正な税制で社会保障のお充実を~」をテーマに緊急シンポジウムが「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」主催で行われなど、税への関心の高まりを示す動きがあった。

(1)2014年6月14日(土)東京税理士会館で第22回定時総会を開催

記念講演は「お尋ね文書等や『質問応答記録書』への対応 ~通則法改正による国税庁の新たな模索と納税者の権利~」をテーマに、東京税財政研究センター副理事長・税理士の小田川豊作氏を講師に迎え行われた。国税通則法改正による国税庁内部の新たな模索の状況とその中で如何にして納税者の権利を護るかという観点から報告があった。
国税通則法改正を受けて調査手続きが煩雑となり実地調査件数が減少していることから、国税庁は接触率を上げるため、実地調査以外の調査や行政指導を効果的に活用した試行に取り組むことを打ち出している。実際に試行された新施策を見ると、法的妥当性を欠くとともに違法性を帯びていると指摘。
また、供述調書を参考に作成されたという「質問応答記録書」の実態が明らかにされ、全国統一方式で進められていることが分かった。記録書の作成をする旨を調査官から告げられたら、法律的な根拠を質問し、「応じられません」と明確に断ることが必要との報告に、このような情報を広める必要性が確認された。

(2)運営委員会の開催

運営会議を4月、5月、7月、9月、1月に開催した。討議の結果、2013年3月に作成した「納税者のためのよくわかる対策Q&A」に、改正通則法施行後に生じた問題に対し3問追加した。また、国会要請の際に手渡すパンフレットの内容について討議し、わが国における納税者保護の状況を一覧できる表やこれまでのTCフォーラムの活動を明記し、国税通則法第1条目的に「納税者の権利利益の保護に資する」旨を明記する改正を求めるものとした。

(3)2014年6月5日(木)、国会議員要請行動の実施

国会議員の構成が大きく入れ替わり、今までTCフォーラムの活動に理解を示していた衆議院・財務金融委員会、参議院・財政金融委員会のメンバーが大幅に変わってしまった。そのため、TCフォーラムの活動をまず知ってもらうこと、納税者権利憲章制定のためには、国税通則法第1条目的に「国民の権利利益の保護を図る」問う文言を明記する改正を求めるという1点に絞って要請を行った。あわせて、第22回の定時総会の開催を知らせ、臨席及びメッセージをお願いした。
衆・参の財金メンバー65名及び今まで理解を示しメッセージをいただいた議員など90名を超える議員室を訪問し要請を行った。運営委員、事務局員など15名が参加した。
なお、5月13日、6月9日に、衆議院財政金融委員会及び参議院財務金融委員会の委員を中心に要請を行った。