TCフォーラム研究報告2022年1号

TCフォーラム研究報告2022年1号
石村耕治「電子的税務調査手法の利活用と納税者の権利~法定外手法や電子機器の分析を中心に

税務調査の現場では、法律で明確に認められていない(法定外)の電子的調査手法や電子機器/電子ツールの利活用が広がり、その是非が問われている。具体的には、フォートコピー/複写の求め、デジカメ・スマホ撮影・写メ[スマホで画像を送ること]の求め、調査過程の音声録音(収録)などである。利活用についてのしっかりしたルールもなく、調査官、納税者、顧問税理士の間でも対応が異なる。また、その法的根拠なども不明瞭である。憲法が保障する租税法律主義や「法律による税務行政」とぶつかり、納税者の権利利益がむしばまれているケースもある。手続の適正化のための法制化が必要、との声もある。ただ、手続の法制化には賛否がある。わが国の現在の立法環境では、納税者本位の立法ができるかどうかはまったく視界不良だからである。