TCフォーラム代表委員・弁護士 鶴見祐策先生の回顧

「『納税者の権利』の取組み」

2023(令和5)年10月2日に、TCフォーラムは、定例の運営会議を開催しました。当日の運営会議に先立ち、TCフォーラム代表委員・弁護士 鶴見祐策先生から、貴重なレクチャーを拝聴することができました。表題は、回顧「『納税者の権利』の取組み」です。

鶴見先生は、納税者の権利利益を擁護する裁判を手掛けてきた草分け的な存在で、著名な弁護士です。92歳、いまだ現役で活躍されております。わが国での「納税者の権利裁判史の語り部」としても、貴重な存在です。

鶴見先生にお願いし、当日のお話をまとめていただきました。先生の納税者の権利に対する価値観を皆で分かち合おうということで、当日の先生のお話をTCフォーラムのホームページ(HP)に公開しました。

また、レクチャー後の討論で、鶴見先生から、次のような重要なアドバイスをいただきました。

「税務訴訟において、弁護士は、税理士の支援を必要とする場面も少なくありません。しかし、税務訴訟において、補佐人として、訴訟代理人である弁護士に寄り添える豊かな法的な知見を持った税理士はいまだ少ないのが実情です。税理士には、補佐人として、税務申告・調査・処分に関する事項について的確な陳述ができるように、法律の知識を蓄えるリスキリング(学び直し)に努めて欲しい。」と訴えられました。

私たち納税者の権利運動に携わる者は、今回の鶴見先生のお話から学ぶべきところがたくさんあります。「戦わずに得たものは失いやすい!」ともいわれます。

今回の鶴見先生の貴重なお話をいかした納税者権利運動を展開して、先生の拓いた道をもっともっと広げる努力をしないといけません。今回のレクチャーで、認識をあらたにさせられました。

「納税者の権利鎖国」の扉を開く、税財政当局の「納税者は単なる義務主体」といった国際常識からかけ離れた「文化」を変えることが急がれます。「納税者は権利主体」という思考の人道回路を拓かないといけません。そのためには、鶴見先生が実感されているように、納税者権利憲章の制定は待ったなしの課題です。

鶴見先生、貴重なお話をありがとうございました。

石村耕治(文責)