2011(平成23)年11月30日に成立した改正国税通則法は、新たに事前通知手続きや終了手続きが規定されました。国税庁は納税者の予見可能性を高める改正といいますが、納税者の権利利益を保護する規定とはなっていません。この国税通則法が納税者の権利利益を保護するための法律であることを明確にするためには、同法第1条目的に、「国民の権利利益の保護を図る」旨を明記する改正がぜひとも必要です。
平成25年12月成立の「所得税法等の一部を改正する法律」附則106条では、納税環境の整備に向けた検討について、「政府は、国税に関する納税者の利益の保護に資するとともに、税務行政の適正かつ円滑な運営を確保する観点から、納税の整備に向け、引き続き検討を行うものとする。」と規定しています。
国税通則法改正の論議を進めていただくよう求めます。
こんな問題が・・・
- 税務調査の手続き規定が明確になりましたが、行政指導の名の下、事前通知を要しない手法(実質的な税務調査等)で納税者への接触が行われています。
- 税務調査の開始にあたっては原則として事前通知(文書によるものではありません)が義務付けられましたが、事前通知なしの調査が行われています。
- 納税者の承諾なしに取引先等に対していわゆる反面調査が行われ、取引先との信頼関係がそこなわれています。
- 任意調査にもかかわらず本人の同意なしに住居・店内立ち入り、レジや金庫の中身を強引に調べる調査が行われています。
- 税務職員の質問検査権には厳格な規定がないため個々の職員の裁量に任されています。 そのため、中にはプライバシーにかかわる質問にも返答を強要されたり、終了時期の見通しも明らかにしないままに調査が行われ営業に支障をきたす事例もあります。
- 4000万人を超える給与所得者にも確定申告権を広く認めるべきです。